クマに出会ったら、どうすればいい? 小中学校で授業をしてきました
朝4時半起床、わなの見回りを終え、エクストリーム出勤を果たしたモチヅキ。
獣害対策の公務員として、福知山市内の小学校と中学校で獣害対策の出前講座を行いました!
今日の出前講座のテーマは「万が一通学路でクマに出会ってしまったら?」
というのも、大型商業施設や住宅地の近くなど、小中学生の通学路付近でツキノワグマの目撃が相次いでいました。そこで「子どもたちが万が一、登下校時にクマと遭遇した場合の対処方法を教えてほしい」と自治会や学校からリクエストをいただいたのです。
朝礼終了後、メールチェックや事務作業を済ませてから行うのは、小学校での授業で展示する野生動物のはく製の運搬。
せっかく対面で授業をさせてもらえるので、少しでも子どもたちの記憶に残ってほしいとの思いから、兵庫県森林動物研究センターから学術研究用の動物はく製を借用してきました。
公用車のハイエースに乗り込んだクマ、シカ、イノシシ。
シカは足が長いので、車窓から顔が見えています。
ちなみにかさばるオスジカの角は着脱式になっています。
小学校に着いたら、お昼休憩です。午後からの授業に備えて、どうしたら子どもたちに伝わりやすい説明になるか、資料の最終チェック。
普段は農家さんや自治会など、大人向けに講習会をすることが多いのですが、子どもたちの反応は素直で、つまらなかったらつまらないというのがしっかりと顔に出るため、内心ビクビクしていました…
(お昼ごはんも味を感じなかったですが、とりあえずかっこみました)
昼休憩終わり。子どもたちが入場してきます。
教頭先生から紹介をいただき、いざ授業スタート!
「よろしくお願いします!!!!!!!」
とこちらの想像の3倍以上の大きさでパワフルな挨拶をしていただき、思わず笑ってしまい、おかげで緊張がほぐれました。
1回目の授業は、小学校4~6年生の高学年向け。
小学生「TVで『鈴を付けるのは逆効果』だと見たんですが、本当に効果はあるんですか?」
モチヅキ「クマは金属音など、山の中には存在しない音に敏感!『人間が近くにいるよ!』っていうことをアピールすれば、クマの方が先に気づいて逃げてくれることが多いです。なので山に入ったりする時は鈴を付けたり、一緒にいる人とおしゃべりしたりしてアピールするのは効果があります!」
小学生「目の前で友達がクマに襲われてしまった場合、自分はどういう行動をすればいいですか?」
モチヅキ「福知山に生息しているツキノワグマは本来臆病な生き物。人を襲う時はクマも人に出会ってびっくりしてパニックになっているか、近くにいる子どもを守ろうとしている場合がほとんど。目の前の友達を助けたい気持ちは分かるけど、それで自分も襲われてしまうのが最悪のケース。まずは自分の身を守ることを第一に考えて、距離をとったり、防御姿勢をとってクマが離れるのを待ってください。そして、すぐに親や学校の先生など近くの大人に助けを求めて、友達を少しでも早く病院に運べるようにしてください!」
…といった質疑応答もあり、20分間という短い時間ではありましたが、子どもたちが授業をしっかり聞いてくれたうえで、自分ごととして考えてくれているというのが伝わってきました。
小学生に理解してもらえるように、表現を分かりやすくしたり、ポイントごとに動画を入れたり、質問をしてみたり、色々と自分なりの工夫を詰め込んで良かったです。
高学年の退場とともに、今度は1~3年生の低学年が入場してきて、休憩する間もなく連続で2回目の授業がスタート!
低学年の子たちは反応がさらに素直で、声も大きく、ほほえましい気持ちで楽しく授業をすることができました。
子どもたちは「はく製」が本物だという認識がなかったようで、授業終わりに近くで見てもらったところ、「目がかわいい!」「思ったより爪がデカい!」など素直な感想がたくさん出てきました。
小学校での怒涛の2連続授業を終えると、ダッシュではく製をハイエースに詰め込み、今度は中学校での授業を行うために移動!
画面越しだったので直接生徒の反応が分からず不安でしたが、先生方からは各教室でしっかりと話を聞いて反応していたというコメントをいただき、安心しました。
それにしても小学校から中学校へ、はしごしてのトリプルヘッダーで授業するのはめちゃくちゃ疲れました…。学校の先生は毎日こうなのかと思うと、頭が上がりません。
今回小中学校の皆さんにお話しした「クマに遭遇した場合の対処法」については、クマに遭遇する機会がないに越したことはないのですが、少しでも多くの子どもたちが記憶の片隅に留めてくれて、いざという時に自分の身を守るのに役立ててくれたらと思います。
もちろん、行政としては通学路にクマが出没しなくなるような周辺環境の整備などを地域と連携して行っていく必要がありますので、引き続き大人子ども、農家非農家関係なく、自分たちが住む地域のこととして獣害対策を考えられるよう、専門員として普及活動を継続していきたいと思います!
最後に少し宣伝を。
福知山市では地域のニーズに応じて、様々な内容で「獣害対策 出前講座」を行っております!
最近クマの出没が多い! 対策をしていても農作物被害が出て困る! などなど、獣害対策に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談いただけたらと思います。
▼モチヅキの執筆記事をまとめたマガジンです!