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クマに出会ったら、どうすればいい? 小中学校で授業をしてきました

皆さんこんにちは!
福知山市役所で獣害対策専門の公務員として働くモチヅキです。
今日は私のとある1日をご紹介します。

連載🦌獣害対策公務員モチヅキ🌲
第1回 私が移住して、全国初の獣害対策公務員になるまでの話
第2回 朝4時半起床。猟師兼公務員のモーニングルーティン

朝4時半起床、わなの見回りを終え、エクストリーム出勤を果たしたモチヅキ。

今回は(やっと)出勤後の本業のお話です!

獣害対策の公務員として、福知山市内の小学校と中学校で獣害対策の出前講座を行いました!
今日の出前講座のテーマは「万が一通学路でクマに出会ってしまったら?」

クマに出会うのは森の中…とも限りません!
市役所には年間100件程度のクマの目撃情報が寄せられますが、車の中からクマを目撃された方もたくさんいます。(写真は道路わきの急斜面のコンクリート擁壁をスイスイ登るクマ)

というのも、大型商業施設や住宅地の近くなど、小中学生の通学路付近でツキノワグマの目撃が相次いでいました。そこで「子どもたちが万が一、登下校時にクマと遭遇した場合の対処方法を教えてほしい」と自治会や学校からリクエストをいただいたのです。

クマの目撃があった駅の構内。見つけたのは車掌さんでした!
GW最中の明るい時間帯のクマ出没にびっくり…
右側には住宅密集地があったり、大きなスーパーがあったりと人もたくさんいます…

朝礼終了後、メールチェックや事務作業を済ませてから行うのは、小学校での授業で展示する野生動物のはく製の運搬
せっかく対面で授業をさせてもらえるので、少しでも子どもたちの記憶に残ってほしいとの思いから、兵庫県森林動物研究センターから学術研究用の動物はく製を借用してきました。

はく製が壊れないように、移動はしっかりと梱包して安全運転で

公用車のハイエースに乗り込んだクマ、シカ、イノシシ。
シカは足が長いので、車窓から顔が見えています。

おわかりいただけただろうか? シカの視線がシュールですね…

ちなみにかさばるオスジカの角は着脱式になっています。

車高の低い車だと、移動の際に角が引っかかるので「着脱式」にしたのだとか

小学校に着いたら、お昼休憩です。午後からの授業に備えて、どうしたら子どもたちに伝わりやすい説明になるか、資料の最終チェック。

普段は農家さんや自治会など、大人向けに講習会をすることが多いのですが、子どもたちの反応は素直で、つまらなかったらつまらないというのがしっかりと顔に出るため、内心ビクビクしていました…
(お昼ごはんも味を感じなかったですが、とりあえずかっこみました)

昼休憩終わり。子どもたちが入場してきます。

久しぶりに見た「前ならえ!」が微笑ましい光景ですが、モチヅキは授業前の緊張で震えています

教頭先生から紹介をいただき、いざ授業スタート!
「よろしくお願いします!!!!!!!」
とこちらの想像の3倍以上の大きさでパワフルな挨拶をしていただき、思わず笑ってしまい、おかげで緊張がほぐれました。

はく製の前でクマの特徴を説明するモチヅキ。本物クマを前に子どもたちも興味津々

1回目の授業は、小学校4~6年生の高学年向け。

小学生「TVで『鈴を付けるのは逆効果』だと見たんですが、本当に効果はあるんですか?」
モチヅキ「クマは金属音など、山の中には存在しない音に敏感!『人間が近くにいるよ!』っていうことをアピールすれば、クマの方が先に気づいて逃げてくれることが多いです。なので山に入ったりする時は鈴を付けたり、一緒にいる人とおしゃべりしたりしてアピールするのは効果があります!」

小学生「目の前で友達がクマに襲われてしまった場合、自分はどういう行動をすればいいですか?」
モチヅキ「福知山に生息しているツキノワグマは本来臆病な生き物。人を襲う時はクマも人に出会ってびっくりしてパニックになっているか、近くにいる子どもを守ろうとしている場合がほとんど。目の前の友達を助けたい気持ちは分かるけど、それで自分も襲われてしまうのが最悪のケース。まずは自分の身を守ることを第一に考えて、距離をとったり、防御姿勢をとってクマが離れるのを待ってください。そして、すぐに親や学校の先生など近くの大人に助けを求めて、友達を少しでも早く病院に運べるようにしてください!」

…といった質疑応答もあり、20分間という短い時間ではありましたが、子どもたちが授業をしっかり聞いてくれたうえで、自分ごととして考えてくれているというのが伝わってきました。

いざスタートしたら子どもたちの反応が嬉しく、あっという間の楽しい時間でした

小学生に理解してもらえるように、表現を分かりやすくしたり、ポイントごとに動画を入れたり、質問をしてみたり、色々と自分なりの工夫を詰め込んで良かったです。

ちなみに、実際にクマに出会った場合は…

①ある程度クマとの距離がある場合は、クマを刺激しないようにしてゆっくりと離れてください。
NG行動☞❌大声を出す、❌近づいて写真を撮る、❌背中を見せて走って逃げる(逃げるものを追いかけてしまう野生の本能があります)

②目の前でばったりクマと鉢合わせしてしまった場合は、頭や首などの致命傷となる部分を守るため、手で覆ってその場に丸くなって伏せてください。
(「防御姿勢」といいます。イメージとしては地震が起きた時に落下物から身を守るときの姿勢と同じです)

本物のクマを間近に見て、思わず心の声が漏れる子どもたち…反応に個性が出て面白かったです

高学年の退場とともに、今度は1~3年生の低学年が入場してきて、休憩する間もなく連続で2回目の授業がスタート!
低学年の子たちは反応がさらに素直で、声も大きく、ほほえましい気持ちで楽しく授業をすることができました。

子どもたちは「はく製」が本物だという認識がなかったようで、授業終わりに近くで見てもらったところ、「目がかわいい!」「思ったより爪がデカい!」など素直な感想がたくさん出てきました。

小学校での怒涛の2連続授業を終えると、ダッシュではく製をハイエースに詰め込み、今度は中学校での授業を行うために移動!

中学校ではクマのはく製に見守ってもらいながら、全学年に映像配信で授業を行いました

画面越しだったので直接生徒の反応が分からず不安でしたが、先生方からは各教室でしっかりと話を聞いて反応していたというコメントをいただき、安心しました。

通信トラブルもありましたが、先生方のご協力もありなんとか授業を終えることができました!

それにしても小学校から中学校へ、はしごしてのトリプルヘッダーで授業するのはめちゃくちゃ疲れました…。学校の先生は毎日こうなのかと思うと、頭が上がりません。

今回小中学校の皆さんにお話しした「クマに遭遇した場合の対処法」については、クマに遭遇する機会がないに越したことはないのですが、少しでも多くの子どもたちが記憶の片隅に留めてくれて、いざという時に自分の身を守るのに役立ててくれたらと思います。

もちろん、行政としては通学路にクマが出没しなくなるような周辺環境の整備などを地域と連携して行っていく必要がありますので、引き続き大人子ども、農家非農家関係なく、自分たちが住む地域のこととして獣害対策を考えられるよう、専門員として普及活動を継続していきたいと思います!

最後に少し宣伝を。
福知山市では地域のニーズに応じて、様々な内容で「獣害対策 出前講座」を行っております!
最近クマの出没が多い! 対策をしていても農作物被害が出て困る! などなど、獣害対策に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談いただけたらと思います。

農区や自治会を対象に行っている獣害対策出前講座の様子


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