見出し画像

農林水産大臣賞の表彰式で、東京・霞ヶ関に行ってきました(潜入レポート)

こんにちは! 静岡県出身、今は京都府福知山市で獣害対策公務員をしているモチヅキです。
市内の三和町川合地域におけるサル対策「モンキーキャッチプロジェクト」が農林水産大臣賞を受賞! 表彰式に出席するため、2024年2月に東京・霞が関に行ってきたので、その裏側をレポートします。

前回はコチラ☞『サル対策をコツコツ10年続けたら、国から表彰された地域の話

【かすみがせき…?】

レポートをはじめる前に、ちょっと思い出話を失礼します。

「日本で2番目に大きい湖はなんでしょう?」
TVのクイズ番組で出題されたこの問題に、当時、小学生の中では体格も良く、ジャイアンのようにイキリ散らかしていたモチヅキは意気揚々と「霞が関!!」と答えて今は亡き祖父に大爆笑されました。

これが今回の目的地。霞が関。駅の表記は「霞ヶ関」。ややこしい…
こちらが霞ヶ浦。琵琶湖の次に大きい湖

その時はなぜ祖父に笑われたのか、意味が分かりませんでしたが、後から自らの過ちを自覚したモチヅキ少年はそれがトラウマとなり、霞が関と霞ヶ浦の区別ができなくなりました。
漢字で書かれているのを見るにつけ、即時にゲシュタルト崩壊を起こし、脳が思考を停止してしまいます。

天国のおじいちゃん…あれから20年経ちました。
モチヅキもいい大人になり、東京都千代田区の霞が関と茨城県の霞ケ浦の違いを即座に脳で理解できるようになりました…

…ということで国の「鳥獣対策優良事例表彰」で福知山市内の川合かわい地域がグランプリを受賞したので、今回は霞が関にある農林水産省で行われた表彰式にお呼ばれしてきたお話です!(モチヅキは賞に推薦した立場として同行しました)

【ふくちやまが私を"成長"させてくれた…】

久しぶりの東京! そして今までの人生では全く縁のなかった霞が関訪問。
しかも大臣賞の表彰…となれば、いつも市役所で過ごしている作業着で向かうわけにはいきません…

こちらが通常スタイルのモチヅキ

家のクローゼットの奥で埃を被っていたスーツを引っ張り出してきました。
今でこそ1年のほとんどを作業着で過ごしていますが、前職(静岡県庁職時代)は毎日上下スーツ+革靴で仕事をしていました。

無駄にたくさんあるスーツの中から、表彰式にぴったりのスーツはどれだろう…?と思案を巡らせつつ、羽織ってみると微かな違和感が…
気づかないフリをして鏡の前でネクタイを結ぼうとしたのですが
なぜかネクタイが結べません…
結び方を忘れたとかそういうことではなく、物理的に手が首に到達しないのです。

そして叫びました。「スーツがちっちゃくなってる!!!」

リビングからは「あんたがデカなったんやろ…」と妻の冷静かつ呆れた返事が。
そんなはずはない! と手当たり次第に他のスーツを着てみますが、腕が曲がらない! 前ボタンが閉められない!! ズボンのホックが閉められない!!! 脚がパツパツすぎてしゃがめない!!!! とほとんどのスーツが着られなくなっていました…
昔の相棒たちに裏切られた絶望に打ちひしがれながらも、現状把握のために体重計に乗って驚愕。
2歳の娘の体重のジャスト9倍。
(具体的な数字は御想像にお任せします…白目)

なぜこんなに成長してしまったのか?
定期的にジムに通ったり、土日も重り(鉄砲)背負って山登りしたり、斧ブン回して薪割りしたり。(モチヅキ家では冬の暖房器具は薪ストーブだけなので、資源確保のために年中薪割りをしています)
一般の公務員としてはかなり消費カロリーの高い生活をしているはずなのに…なぜ…?

原因は簡単。私をここまで成長させてくれたもの…それは「お米」。 
福知山のお米が美味しすぎるのがいけないのです…

それまでモチヅキは体格のわりに小食。朝はご飯よりパン派でした。
お米にも無頓着で、お腹が膨れたら一緒という考えで、スーパーで一番安いお米を買い続けてきました。
しかし、静岡県から福知山市に引っ越してきて以降、色んな人から新米を譲っていただいたりしたことで、而立じりつを過ぎてからお米のおいしさに気づいてしまいました…パン派からご飯派に変わってしまうほど、福知山のお米は美味しいのです…
同じく福知山の宝である「卵どすえ」なんて乗せてTKGにしたときは、気づいたらお茶碗が空になってしまっています…
今ではお茶碗2杯は当たり前…
「真っ白なお米はカロリーゼロ!」という某芸人さんの言葉を信じ、お米を食べ続けたところ、気づかないうちに自分の身体が一回りも二回りも成長していました…
ありがとう農家さん。ありがとう福知山のお米。
今後、健康診断で毎年「要検査」になったとしても炊き立てアツアツなお米への愛は冷めないでしょう…

【いざ!お江戸!】

昔オーダースーツ屋さんに仕立ててもらったにも関わらず、びっくりするほど採寸がおかしくてブカブカだったスーツだけが、何とか着ることができました。
一張羅となったスーツを羽織って東京へ向かいます。

京都駅から東海道新幹線に乗っていると、途中で生まれ故郷の静岡を通り過ぎます。静岡県のシルエットは「金魚の形」と例えられることがあります。種類でいうとリュウキンですね。

静岡は別に今更めずらしくもないので、うつらうつらしながら浜松駅を通過した…と次に目が覚めて窓の外を見てみるとまだ焼津。金魚の口から入ってまだお腹ぐらい。
静岡は横に長いんです。GWや年末の帰省ラッシュなんかで東名高速道路が渋滞したりしていたらまさに地獄。静岡に入ったら最後、もう出ることはできない…と感じるほど長いのです。
子どものころは「静岡長いあるある」を声高にしゃべる大人たちが何を言っているのか分かりませんでしたが、静岡を離れてその長さに気づきました。

【腹が減っては戦はできず…】

時速200㎞で金魚の腹の中を滑り、無事東京駅に着いたモチヅキ。
今日は移動日。表彰式は明日の朝からです。

東京に住む知り合いに「お勧めの東京グルメ」を聞いても、「東京は何でもあるし何でもそこそこ美味い」とか「一蘭(※博多ラーメン)」とか「天下一品(※京都のソウルフード)」とか全然参考にならない意見ばっかりだったので、ネットで調べ、月島のもんじゃストリートに「もんじゃ」を食べに向かいました。

おいお前、そんなに飲んで食ってばっかりやから肥えるんやろ! という指摘は甘んじてお受けしましょう。

【農水省潜入】

「潜入」って言葉を使ってみたかっただけで、実際は「農林水産大臣賞」を受賞したゲストとして、既にパツパツのスーツが破れんばかりに胸を張って堂々と入り口から入らせていただきました。

警備員さんに怪訝な顔をされたのでビビッて遠くからパシャリ

国の職員さんは官僚というだけあって「お堅い」イメージが強いですが、農水省はちょっとイメージが違って、若手職員さんによる「BUZZ MAFF」(官僚系ユーチューバー)などユニークな取り組みもされていて親しみやすい感じがします。

全然関係ないですが、農水省の地下に床屋さんがあったことが衝撃的でした…

表彰式の会場は7階の講堂。表彰式自体は午前10時からなのですが、1時間前に会場入りしてリハーサルを行います。

前列一番手前。カメラ目線で不敵な笑みを浮かべるのが本日の主役。 川合地域農場づくり協議会代表の土佐さん

土佐祐司さんとの出会いは今から3年前。
私が福知山市に正式採用を受けた3日後。
まさに右も左も分からない状態で土佐さんに会いに行き、獣害対策を含めた川合地域の未来について2時間熱い熱いお話をしていただいたことは今でも鮮明に覚えています。

とにかくバイタリティーの塊。キャラが強い! リーダーシップを具現化したような土佐さんは、肩書が何個あるのかご自身でも分かってないくらい、川合地域、三和町、そして福知山市のより良い未来のために、様々なプロジェクトのリーダーをされています!

福知山市 三和町 川合地域

【厳かな表彰式】

表彰式が始まりました。
今回モチヅキは農林水産省の「農作物鳥獣被害対策アドバイザー」として川合地域の取り組みを文章にまとめ、国に推薦した推薦者という立場で随行させていただきました。
なので当日の役割は「撮影」です。

武村農林水産副大臣から表彰状を受け取る土佐さん
受賞した土佐さんよりも嬉しそうな推薦者のモチヅキ

表彰式で受賞された方々が胸に付けているコサージュ。
ボタンの花を模した形ですが、「ぼたん肉」と呼ばれるイノシシのジビエレザーを用いて作られているとのこと。
言われなければ気づきませんが、なんと洒落の効いたおもてなしでしょう!

もらえると思ったのに、イノシシレザーのコサージュは表彰式終了後に回収されてしまいました笑

【白熱の事例発表】

表彰式後には第11回「全国鳥獣被害対策サミット」が開催され、川合地域農場づくり協議会の代表である土佐さんから事例発表が行われました。

土佐さんは会場に詰めかけたメディアを含む大勢の人の前で、なおかつ自分の事例発表が全国にオンライン配信されている状況にも関わらず、全然緊張することもなく、スラスラと話されていました。

大舞台にも関わらず自分たちの地域の取り組みについて、あれほど自信をもって紹介できるなんて、これまで頑張ってきた活動に対する情熱をひしひしと感じました。

途中、昼休憩。ジビエが出るなんてさすが農水省の食堂です

獣害対策サミット午後の部では、行政という枠組みの中で、スペシャリストとして獣害対策に取り組んでいる方々の熱いお話を直接聞くことができ、私自身とても刺激になりました。

福知山市で獣害対策モデル地区の支援をしてくださっている兵庫県立大学の山端直人先生も コーディネーターとして登壇。(モチヅキも資料の中で写真出演しました笑)

その中でも、基調講演をされた島根県美郷町の安田さんがお話をされた

自分たちの仕事の中から、補助金を受けて行っている画一的な業務を除いた時に何が残るのか? という部分が重要。その残った取り組みこそが、その市町オリジナルの獣害対策であり、地域づくりという観点からその量を増やし、その色を濃いものにしていかなければならない

というメッセージはとても印象に残りました。

福知山市でも国の交付金などを活用して、捕獲の推進や防除柵の設置をしています。ただそれはあくまで全国的に行われている獣害対策の「標準仕様」にすぎません。

地域の実情に応じた福知山オリジナルの獣害対策を実践し、その幅を広げ、内容を深めていかなければならない…と強く感じました。

【まとめ】

今回、福知山市での地域主体のサル対策の取り組みが評価され、京都府初の農林水産大臣賞をいただけたことは非常に光栄なことです。

また、これまで頑張って取り組んできた地元の方々に喜んでいただけたことは、推薦者として本当に嬉しく思います。

獣害対策の専門員として、地域で取り組む獣害対策のサポートをしていくことはもちろん、頑張って取り組んでいる地域の取り組みをしっかりと伝えていくことも自分の役割の一つであると思いますので、引き続き地域主体の獣害対策の支援に取り組んでいきたいと思います。

地域で取り組むサル対策のお話を土佐さんに聞いてみたい!
という方はぜひお声かけください。

再びスーツを着こなせるよう、減量を決意したモチヅキでした。
(ちなみに決意だけは毎年しています…)
それではまた!


▼川合地域のモンキーキャッチプロジェクト

▼その他の記事はコチラから

最後まで読んでいただき、ありがとうございます! ほんのちょっとでも、あなたの福知山スキ度が上がっていたらうれしいです!また読みに来てください!