東京・青山と京都・福知山を往復して思うこと。【わたしが思う #いがいと福知山 vol.1】
はじめまして。公庄(ぐじょう)と申します。ふだんは東京でコピーライティングを中心に、ブランディングや広告などの仕事をしているのですが、数年前から家族の事情で福知山へ頻繁に訪れるようになりました。
平日は青山やら銀座やらお洒落な街で「クリエイティブとは云々」と偉そうにプレゼンしておきながら、その週末には山や田んぼに囲まれた場所にいるのが、いつも不思議な感覚になります。
僕にとっての福知山は、やっぱり「いがいと田舎」ということでしょうか。
こちらにいる間は、駅から車で20分程度の場所に暮らしているのですが、どのくらい田舎かというと、毎晩のようにシカと遭遇するくらいの田舎です。図鑑や動物園で見るとあんなに可愛らしいシカですが、道で遭遇すると、野生動物ならではの神秘的な感じさえして、結構怖いものです。
そう言えば、百人一首に「鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」という句がありますよね。東京にいた頃は、「シカって鳴くんだっけ?」と思っていたのですが、こちらでは裏山からのヒューイ!というシカの鳴き声を聞きながら眠りにつきます。
シカの他にも、イノシシやタヌキやイタチも、ときどき見かけます。初夏になれば、近くの田んぼに驚くほどホタルが舞い、夏は近所の川でカニを捕まえて遊びます。
地元の新聞では、クマの出没情報が毎日のように載っており、小学生の娘は、クマ除けの鈴をつけてジャラジャラと登校しています。ちなみに学校までは歩いて50分ほど。こう書いてみると、「いがいと」どころでない、かなりの田舎みたいですね、、。
そういえば一度、車を運転中に、シカとぶつかってしまったことがありました。シカはヨロヨロと川の方へ逃げて行き、僕は「どうか無事に生きてますように…」と手を合わせ祈り、切ない気分で家に帰ったのですが、その日の夕食が「罠にかかった!」という鹿肉で、なんとも言えない気になりましたね。諸行無常を感じながら、命をいただきました。ちなみにとても美味しかったです。
ジビエは臭みがある、という人がいますが、処理や調理の仕方次第なのか、
そう感じたことはありません。ローストディア(ロースビーフの鹿バージョン)にするととても美味しいです。ちなみに僕の奥さんは狩猟の免許を取得し、罠をかけたり、獲物を解体したりしています。近頃は銃の免許も取得したようなのですが、いったいどこへ向かおうとしているのでしょうか。
ところで、福知山をご存知の方の中には、そんなに田舎だったかな、と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。それもそのはずで、福知山という街は、車で少し走るだけで、景色がガラリと違ってくる街なのです。きっと市民の方でも、野生動物なんて一度も見たことない、という人がたくさんいるのではないでしょうか。
たとえば僕はこの文章をいま福知山駅前のスターバックスで書いているのですが、この辺りは関東近郊とさほど変わりません。スタバの店内はむしろもう一つの拠点である東京青山のように、ステッカーたくさんのMacBookをパタパタ叩くクリエイティブな男性や、クリームふわふわのフラペチーノをパシャパシャ撮るファッショナブルな女性たちで賑わっており、140円の水しか注文していない僕も、申し訳なさいっぱいで利用させてもらっています。
話が明らかに無駄な方向に逸れつつありますが、福知山は、街中は十分便利なのに、少し足を伸ばすだけで田舎、という話でした。やっぱりこの街中と自然の距離こそ魅力だと思いますし、大袈裟かもしれませんが、人間が生きる上での正しい距離感のような気がします。
自分のご縁がある地方に片足を置いて、「外貨」は都心で稼ぐ、という生活がもう少し一般的になれば、過密な都心に苦しむ人も、過疎に悩む地域も、ほんの少しだけ幸せになると考えているのですが。今後、世の中のリモートワーク事情はどう進むのでしょうか。
ともあれ、貴重なお時間を割いて読んでいただき、ありがとうございました。今から5時間かけて東京へ出社してきます!
では。