田植え初心者の新入職員による毛原の棚田"体感"ツアーレポ
田植えシーズンまっさかりの5月14日(日)に行われた、「毛原の棚田」体感ツアー。
毛原の人口の3倍にもなる約80名が集結しました。
遠くは大阪や福井からのご家族も。
なぜそんなに人を惹きつけるのかーー毛原の棚田の不思議な魅力を探るために、新入職員がツアーに初参加してきました!
最初に少しだけ、筆者のことについてお伝えさせてください。
私は今年の4月から福知山市職員になり、市外から福知山市に移住してきました。今はシティプロモーション担当として日々励んでいます。
地元は田んぼの多いところでしたが、小学生の頃に一度だけ田植え体験をしたことがあるのみで、田植えは初心者です。
では、そんな福知山も田植えも新参者の目線でお送りしていきます。
■毛原の棚田について
皆さんは毛原の棚田をご存じですか?
福知山市中心街から車で30分くらい走ったところにある、大江町の毛原地区。
そこのひろ〜い傾斜地に広がる、段々に並ぶ田んぼ。
一歩足を踏み入れると、土や草の瑞々しい香りが少し冷たい空気にのって、体に染み渡っていきます。
なんと棚田は600枚にも及び、日本の棚田100選やつなぐ棚田遺産にも選ばれているくらい、すごい地域なのです。
“毛原の棚田ワンダービレッジプロジェクト”代表の水口一也さんをはじめ、26人の住民と毛原ファンによって景観が守られています。
色々と面白い取り組みをされているのですが、その紹介は後ほど。
■当日の流れ
9:00 受付開始
9:30 開会式
10:00 田植え開始
12:00頃 閉会式
まず、受付で参加費1000円を支払い、お昼ごはんの引換券をもらいます。
目の前に公会堂があり、荷物を置くことができます!
準備を整えたら、坂道を登り、田植え会場へと移動します。(私は普段あまり運動をしないため、この坂道は辛かったです…)
開会式では、「福知山の変」最新作の発表も行いました。(後ほど詳しく紹介させてください!)地域の全住民が登場する、水口さんの毛原への想いが込められたポスターを披露すると、会場からは拍手が起こります。
水口さんは、「まるで大きな家族のようなポスターができあがって、とても喜んでおります。毛原は1000年の里づくりに向けて歩んでいる最中でございます。どうか今日は、そんな毛原を楽しんでいただけたらと思います」と、笑顔であいさつしていました。
◉いざ、田植え体験!
さて、いよいよ田植えの時間です。
私もこの日のために長靴を用意しておきました。
毛原自治会長の方の説明を、真剣に聞きます。
なるほど、苗を2、3本とって拳一個分程度あけて植える……
これは簡単そうですね!昔とはいえ、やったことのある身。
もう余裕です。
そう浅はかなことを思ってた時もありました。
すみません、すごく大変です。難しいです。
まず泥が乗っかって足が動かなくなります。
不安定な足場で植えるため、腰や足にとてつもない負担がかかります。
そして方向転換するにもたくさんの労力を使い、1つ植えるたびに大仕事を済ませた気持ちになります。
舐めたこと思ってて本当にすみませんでした。
入った時はまだ、「泥あったかいな」とか「あめんぼがいる」とか悠長なことを考えていたのですが、少し足を踏み入れるともう動けません。
前へ踏み出した片足も、もう片方の動かそうとしていた足も動きません。
何度も実行委員の方にお手伝いいただいてなんとか、一歩、一歩を進んで行きました。
あんなに一歩の重みを感じたのは初めてです。
子どもの頃、ちょうどこの時期になると友達はみんな「一家総出で田植えしなきゃいけないから」と遊べなくなりましたが、こんなに大変ならしょうがないか、と今さらながらに思います。
周囲を見渡してみると、子ども達は裸足の子も多く、田んぼの中を駆け回っていました。
みんな髪も服も泥だらけです。
反対に足が泥で汚れるのを怖がって泣いている子たちもいましたが、それぞれ思い思いに楽しんでいるみたいでした。
もう私は動くことを半分諦め、自分の周りに植えつつ、子どもたちに苗を渡して手伝う方向にシフトしました。
みんなで植えた苗が並んでいる様子に、達成感のようなものを感じ、清々しい気持ちになります。
皆さん「どろんこやね」などと、笑顔を交わしていました。
こうして、その場にいた人たちと自然と交流がうまれるのも体感ツアーのいいところではないでしょうか。
一緒に植えた子ども達のご家族にお話を伺ったところ、「子ども達が大きくなったので今年参加しました。楽しかったです!」と話してくれました。また、家でバケツ稲を育てているほど農業に関心を持っているご家族もいて、「こうして実際に体験できるのはとてもいい。次も参加したいですね」と仰ってました。
私を含め、大人も子どもも楽しめた田植え体験でした!
「毛原の棚田体感ツアー」実行委員会の皆さま、本当にありがとうございました!
◉お昼の時間
田植えが終わって、きれいに足や手を洗えばもうお昼どきです。
いつの間にやら晴れてきました。
引換券を取り出し、お茶とお弁当に交換してもらいます。
“鬼の聖地”といわれる大江山。
毛原の棚田は大江山の麓にあるんです。
というわけで、鬼の顔がお弁当になっていました。
鬼弁当、とってもおいしかったです。
椅子に座って一息ついていると、、
なんと、スタッフに対して毛原の住民の方からスイカの差し入れがありました!
まさか5月にスイカを食べられるとは思いませんでしたが、甘くてとても美味しかったですよ!
食べた後の皮は畑の肥料にするそうです。
(たくさん食べてね、とのことだったので2ついただきました!毛原は温かい方ばかりです)
こうして最後の最後まで毛原を堪能してきました!
余談ですが、この日の夜はとてもよく眠れましたよ。
■毛原の棚田の取り組み
「毛原を1000年続く里にしたい」
そう、毛原の棚田ワンダービレッジプロジェクト代表の水口一也さんは語ります。
もちろん言葉だけじゃありません。
毛原の棚田では関係人口づくりに向けてたくさん取り組みを行っています。
今回参加した「毛原の棚田体感ツアー」もその一環です。毎年、春の田植え(5月ごろ)と秋の稲刈り(9月ごろ)を行っています。毎回大盛況で、100人程度が毛原を訪れるようですよ。
これだけでも充分すごいのですが、さらに、棚田が活用しきれていない現状を受けて、棚田オーナー制度もつくられています。
年間5万円の会費で、2週間に一度田んぼのお世話をするだけで収穫したお米、約120kgがもらえます!もちろん地元農家さんが指導してくださいます!
月に2、3回の農作業で収穫したお米が全部もらえるなんて美味しい話、私はあまり聞いたことがありません。
いやぁ、すごいです。
あと山間部は電波が弱そうだなぁ…と思っている人に朗報です。
毛原はWi-Fiを完備しています。
さらにクラウドファンディングを募り、平均年齢約70歳と高齢化が進むなかでの「共助」のカタチとして、全宅にAIスマートスピーカーを導入しました。
ゴミ出しの予定や、行事の日程など、スピーカーにたずねると答えてくれます。
ICTの活用がここまで進んでいる地域って一体どのくらいあるのでしょうか。
すごすぎます。
あと、実際に住民の方が住んでいるおうちで「緑側喫茶」を開催したり、電子地域通貨「け〜ら」の発行、キャンプ体験会によもぎ栽培など……
いや、やりすぎじゃないですか?!と言いたくなるくらい、毛原はオープンで、みんなで盛り上げていこう!という想いが強い地域です。
特に春と秋の「棚田体感ツアー」と、毎月第1・3の日曜日に開かれる、地元の方とお茶を飲みながらお話ができる「縁側喫茶」は、はじめてでも参加しやすいですよ!皆さんも一度、毛原で「1000年続く里づくり」を体験してみませんか?
■「福知山の変」について
「福知山の変」とは、まちの礎を築いた光秀を超えていくような挑戦をし、このまちに変化をもたらす変化人(へんかびと)を紹介する企画です。
明智光秀(のそっくりさん)が登場する「福知山の変、始まる」篇ではじまり、クラリネット奏者で起業家の吉田佐和子さん、キャンプライフクリエイターの岩城四知さん、大江山鬼そば屋の佐々井飛矢文さん、トマト農家の小林加奈子さん……
そして新たな"変化人"が、水口一也さんです。
頭の中に26人の全住民が登場するビジュアルはとてもインパクトがあります。
ポスター上部の毛原の皆さんは、よ〜くみるとアクリルスタンドになっています。
このアクリルスタンド、なんと今なら市立図書館で現物をみることができます。
6月4日まで展示されていますので、よければご覧になってください!
また、トークイベントもあるんです。
第1回は"変化人"の吉田佐和子さんと水口一也さん。5月27日(土)の夜に図書館で行います。
福知山市の公式アカウントでインスタライブも行いますので、よければ見に来てください!
この企画は第2回、第3回…と予定しています。
お楽しみに〜!
◉最後に
ここまでお読みいただきありがとうございました。
新入職員による、田植え初心者の「毛原の棚田 田植え体感ツアー」レポ、いかがだったでしょうか?
私自身、福知山市に来て初めて「毛原」に出会ったのですが、今回現地に行ったり調べる中で、1000年続く里づくりに皆で取り組んでいて、内とも外とも人との繋がりがたくさんある地域で、とても魅力的なところだとわかりました。
この記事で、毛原について少しでも興味を持ってくださったならば嬉しいです!
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