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まちの"変化人"が、地域と文化を語る。【図書館×福知山の変トークセッションVol.1】レポート

2023年5月末。「ナイトライブラリー」といわれる閉館後の図書館の活用に、福知山市が初挑戦! 福知山駅前の図書館でトークイベントが行われました。

変化人(へんかびと)、登場

登壇者は、クラリネット奏者・起業家として地域と文化芸術をつなぐ活動を精力的に行う吉田佐和子さんと、人口26人の集落「毛原の棚田」を面白くするアイデアを次々と仕掛ける水口一也さん

ふたりの共通点。それは、このまちを変えていく“変化人”(へんかびと)であることです。 明智光秀が築いたまち福知山で、いま挑戦する人を応援する、市のシティプロモーション企画「福知山の変」に登場しています。(ほかにも素敵なつながりが。それは後ほど…!) そんなお二人のトークの一部を、レポートでお届けします!

「頭から楽器が生えている」ビジュアル

吉田 佐和子さん【クラリネット奏者/起業家】
福知山市出身、現在は福知山市と大阪の2拠点生活中。株式会社Locatell代表取締役社長。(一社)福知山芸術文化振興会代表理事。(公社)福知山市文化協会理事。クラリネット奏者として2枚のアルバムを発表。地域と文化芸術をつなぐアーツマネージャーとして、社会課題を解決する様々な分野の企画プロデュースを手がけている。

―― 吉田さんは「福知山の変」1人目の変化人です。このビジュアルはどうやってできましたか?

吉田さん:インパクトのあるビジュアルですよね。よく私は「頭から楽器が生えている」と言っています。自分の頭の中をあらわすイメージとして、「福知山にいろんな楽器の音が鳴り響く」というモチーフをクリエイターの方から提案してもらったんです。

広告界で活躍するクリエイター、市役所職員、そして市民の共同制作プロジェクトが「福知山の変」です

吉田さん:楽器は全部で6つです。左から、ホルン、フルート、バイオリン、あとトランペット、クラリネット、シンバル。

ただ管楽器と弦楽器の両方をひとりで持っている人って、なかなかいないんですよ。そこで(市内で音楽と教育に携わる)細谷恵滋先生と、私の母校である福知山市立桃映中学校にお願いして、楽器協力として入っていただきました。

モチーフの撮影風景。
お借りした楽器をスタッフが組み合わせて「一発撮り」します

―― 都市圏で音楽家として活動してきた吉田さん。ふるさとで文化事業に取り組むきっかけは何でしたか?

吉田さん:私は音大卒業後、大阪と東京を拠点に音楽活動をして、パリに3年間行って音楽院にも通いました。関西・東京・パリといろんな文化芸術を見て、自分の大好きな福知山でも、こんな体験をみんなにしてもらいたいなと思うようになったんです。

小さい頃は、まちについては大人が何とかしてくれると思ってました。ただ、そのうち自分が大人になって。

コンサートからはじまり、色んな企画を福知山で行うようになりました。私はデフォルトで福知山が好きなので。福知山にあるものを活かして、ないものを作れないかと考えるのが楽しいんですよね。

なごやかな空気のなか、トークが進んでいきます

集落の全住民が登場! って、どうやって!?

水口一也さん【毛原の棚田ワンダービレッジプロジェクト代表】
「日本の棚田百選」とその後継の「つなぐ棚田遺産」認定の福知山市大江町毛原出身、在住。大阪・京都で約30年営業職を勤め、2011年にUターン移住。 平均年齢約70歳と高齢化が進む地域でICTやクラウドファンディングを活用し、関係人口を増やしながら地域課題の解決に取り組む。2015年発足の同プロジェクトは地域再生大賞優秀賞、内閣官房主催「冬のDigi田甲子園」全国9位。

―― 水口さんは最新の変化人(へんかびと)です。「福知山の変」のモチーフについて、教えていただけますか?

水口さん:毛原の棚田は景観が有名ですが、その景観というのは「人」によって守られています。なので人をモチーフにしてほしいとお願いしました。ただ毛原の平均年齢は約70歳で、家から移動することが難しい人もいるので、集合写真はムリなんです。その場合はご自宅に伺ったりして、全員の写真を撮らせてもらいました。

毛原公会堂や自宅がスタジオに。
全国広報コンクール写真の部1位を獲った市職員が撮影しました

水口さん:そこから住民をひとりずつアクリルスタンドにして、それを家の標高順に組み合わせたものを一発撮りして、完成したのが「福知山の変」のポスターです。毛原の全住民がなんとか頭の上に乗っているんですよ。

13戸26名が大集合。見てください!みなさんのフレンドリーな笑顔!

吉田さん:全住民ってすごいですよね。私は最初に毛原を知ったとき、みなさんの名前が載ったパンフレットがあることにびっくりしました。(※詳しくは、吉田さん運営「fukutyama」の記事へ)

水口さん:「毛原ファンを受け入れるため」ということで、みなさんにOKをもらって、名前と似顔絵が載ったパンフレットをつくったのが数年前です。

ただ今回は写真ですし、みんな何て言うかな~と思いましたが、市役所の担当者とともに思いを伝えたら、理解してくれました。あと僕は「みなさんが写るのは、親指サイズくらいでほんと小さいから。詳しく見えないから、大丈夫ですよ」とも言いました(笑)

トークの深まりとともに、夜のとばりが下ります

――ポスターにある、「毛原を千年続く里にしたい」という壮大なビジョンはどこから?

水口さん:10年100年の計画は、よくありますよね。1000年後の姿を思い浮かべるロマン。これを抱くことができるんじゃないかと思って1000年にしました。

あと、この集落に人が移り住んだのは平安時代後期ごろで、つまりもう1000年経っているんですよね。だから1000年先も、消滅集落にならずにあり続けたいという思いも込めています。

―― 吉田さんも、毛原ファン、毛原の関係人口のひとりですよね。「毛原〜1000年先も続く里へ〜」という曲を発表されています。

吉田さん:美しい棚田の景色と、1000年というロマンに向かって活動しているみなさんに感動したんです。そこで、まずは毛原でコンサートを企画して。ここに住む人や景観が思い浮かぶような曲を演奏したいなと思って、曲もつくりました。

なんと!今回のために吉田さんが特別に編曲したバージョンを、図書館で生演奏してくださいました!動画で少しおすそわけします。(毛原の風景やコンサートの様子が見られるフルバージョンはこちら

いま挑戦中のこと

水口さん:(かつて毛原も校区で)廃校になった美鈴小学校を拠点に活動する、「チームみすず」を最近結成しました。6月には「みすずフェスタ」をやります。

きっかけは、毛原の住民に悩みを聞いてみると、60項目も出てきたことです。これはどの地域も共通の悩みなので、自分の集落だけでは解決が難しくても、お隣の集落と一緒に取り組んだら解決できるんじゃないかと考えました。

そこでまずは「地域の顔合わせ」として、みすずフェスタを企画した、という訳なんです。これからは、毛原の13戸の集落から、350戸にステージアップしていきます!

(※みすずフェスタは大盛況のうちに終了しましたが、「チームみすず」はメンバー募集中です!興味のある方は公式HPへ)

吉田さん:私もみすずフェスタに行きます! とても素敵な取り組みだと思います。

私が注力しているのは、私が所属する社団法人(福知山芸術文化振興会)で、音楽・ダンス・演劇・ミュージカル・音楽史講座など、今年度で全20公演をやることです。「福知山でこんな体験ができたらいいな」と思うものを企画しました。

(※今後も「こども」や「老い」などいろんなテーマのイベントが続々! 詳細は公式HPイベントページへ。アートボランティアをしたい!という方は募集ページへ)

ーー最後に"変化人"として、ひとことお願いします!

吉田さん:福知山を、性別年齢関係なく、いろんな形で関わっていけるまちにしたいと思っています。今後も文化芸術を通してきっかけを作っていきたいです。

水口さん:「1000年続く里づくり」と言い始めてから、あと993年。一歩ずつ歩みながら取り組んでいきます!

最後に記念撮影。ありがとうございました!

 [次回] テーマは「性の多様性」

図書館×福知山の変トークセッションVol.2
6月はプライド月間&男女共同参画週間。
大江山鬼そば屋 共同店長のなゝ姫こと佐々井飛矢文さん中村麻美さんをお迎えして、「性の多様性」についてお話をお聞きします!
6月18日(日)18:30スタート。
福知山市立図書館 中央館での観覧お申込みは公式HPから。
Instagramライブ(@fukuchiyama_city)は予約不要。


◆「福知山の変」とは

「福知山の変」とは、まちの礎を築いた光秀を超えていくような挑戦をし、このまちに変化をもたらす変化人(へんかびと)を紹介する企画です。

明智光秀(のそっくりさん)が登場する「福知山の変、始まる」篇ではじまり、クラリネット奏者で起業家の吉田佐和子さん、キャンプライフクリエイターの岩城四知さん、大江山鬼そば屋の佐々井飛矢文さん、トマト農家の小林加奈子さん、そして毛原の棚田ワンダービレッジ代表の水口一也さんに登場いただきました。

みなさんもぜひ変化人にご注目いただくとともに、福知山市での挑戦の輪と、それを応援する輪を一緒に広げていきましょう


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