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福知山市の伝統産業 丹後和紙を次の世代へ【福知山市 移住者インタビュー/大森良子さん】

【プロフィール】
田中製紙工業所 
大森(旧姓:田中)良子さん(27歳)
福知山市大江町/福知山市大江町出身/Uターン
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この記事は、移住促進WebサイトFUKUFUKU LIFEに掲載された記事を、一部加筆・修正して転載しています。(2020年10月掲載)
福知山市に移住された方が実際にどんな暮らしをしているのか、ぜひご覧ください。

良子さんは福知山市大江町で生まれ育ち、高校卒業後は兵庫県の大学へ進学。大学卒業後に地元企業に就職しましたが、2020年2月より、江戸時代から続く家業・丹後和紙の職人になるための修行を始められました。「家族が代々大切に守ってきた伝統を守りつつ、時代のニーズにあった和紙のあり方も追及したい」とにっこりとほほ笑む若い和紙職人のたまごを取材しました。

ふるさと福知山への思い

地元に戻ってきたきっかけは、学生時代に大好きな祖父母が病気になったこと。この先どれだけ一緒に過ごせるかと考えた時に地元に戻ろうと決意したそうです。
地元に戻ったことで、福知山市は、都会と比べて人と人との距離が近く、人の温かさが感じられ、安心できるまちだと外に出て改めて気づかれたそうです。

最初に勤めた地元企業で、たくさんの素敵な人に出会い、多くの学びを得られました。若手であっても、都会では経験できないような責任ある仕事を任せてもらい、経営者の視点で物事を考えられるようになったことは、現在の仕事にも役に立っているそうです。

福知山市 大江町にある元伊勢内宮皇大神社。良子さんが高校時代に巫女のアルバイトをされていました

丹後和紙と家業への思い

良子さんは、2020年2月に家業を継ぐため、地元企業を退職し、田中製紙工業所に就職しました。子どもの頃から、祖父母や両親が和紙をすいている姿を見て育ち、江戸時代から続く丹後和紙の伝統を父の代で途絶えさせてはならないとの思いから、丹後和紙の職人になることを決められたそうです。

もともと福知山市大江町は、江戸時代末期から明治にかけて紙漉きが盛んな地域で、最盛期には200戸余りの製紙所がありました。
しかし、時代の変遷とともに減少し、現在、この地で紙漉きを生業としているのは田中製紙工業所のみです。
全国的にも和紙の原料を外国からの輸入に頼るところも多い中、丹後和紙では、原材料である楮(こうぞ)の栽培から加工まで家族で力を合わせて行っているのが大きな特徴です。

和紙の原料となる楮(こうぞ)。原料を自ら育てることから丹後和紙の製作は始まる

丹後和紙ができるまでの作業工程は、ほとんどが手作業で手間がかかり、重労働でもあります。決して楽な仕事ではありませんが、良子さんは、「『田中さんの和紙でないと』とおっしゃってくださる方のために心を込めて製作をしている」と語ってくれました。

丹後和紙は、丹波漆や藍染めとならぶ福知山市の伝統産業であり、その美しさと技術力の高さから国内だけでなく海外からも高い評価を得ています。
良子さんは、現在、楮(こうぞ)の皮をはぐなどの和紙づくりの下ごしらえを中心に和紙づくりの技術を学んでいます。

楮を加工する様子。ひとつひとつ心を込めて丁寧に作業をされています

時代のニーズに合わせた和紙の在り方を追求

和紙職人としての今後の目標について、「父が守ってきた丹後二俣紙の伝統を語り継げるような職人になれるように修行していきたい」と語る一方、「和紙の在り方も時代とともに変化させる必要がある。時代のニーズに合わせて商品をつくってく必要があり、家族で相談しながら、現代の生活に調和する新しい和紙の在り方についても探求を続けていきたい。」と意欲的です。

田中製紙工業所には、良子さんが考案した可愛らしい製品が並んでいます。良子さんは、若い感性を発揮し、地元のデザイナーと商品をつくるなどの取組も少しずつ進めています。和紙職人としてのキャリアをスタートさせた良子さんが、福知山市の魅力を世界に発信してくれる日が待ち遠しいです。

丹後和紙のしおり。良子さんが地元のデザイナーと相談しながら製作されました

田中製紙工業所
住所:〒620-0324 福知山市大江町二俣1321
電話:0773-56-0743


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