古民家で農業と音楽と自給自足。思い描いた田舎暮らしを福知山で実践!【福知山移住者インタビュー/佐賀地区】
新型コロナウイルスの影響をきっかけに、働き方や暮らし方が多様化している近年。自らの生き方を見つめ直し、「移住」という選択をする人も増えています。福知山市でも、さまざまなバックグラウンドを持つ方が移住されています。
「福知山移住者インタビュー」では、福知山へ移住した方々に、暮らし、しごと、人とのつながりや出会いなど、どのようなきっかけで福知山を移住先に選んだのかをお聞きし、「移住者から見る福知山の魅力」を紐解いていきます。
今回は、東京から福知山市佐賀地区に移住された外舘 龍之介(とだて りゅうのすけ)さん、洋子(ようこ)さんにお話を伺いました。
やりたいことを叶えるための地方移住
お二人が住むのは、福知山の佐賀地区にある古民家。家の隣の敷地には納屋があり、小川の上にかかる橋を渡って立派な母屋へ向かいます。その佇まいはまるで旅館のよう。
この家に住む前は、都心から少し離れた東京のベッドタウンに住んでいた2人。かつてバンドマンだった龍之介さんはドラム、洋子さんは家庭菜園の趣味があり、いつかは好きなことを存分に楽しめる一軒家を持ちたいと考えていました。
龍之介さん「最初は東京の郊外で一軒家を探していたんですが、とにかく価格が高い。もっと選択肢を増やそうと、全国に範囲を広げて探し始めました。そんなときに、兵庫県多可町に移住されてかやぶき屋根の古民家に住む夫婦のことをYoutubeで知りました」
洋子さん「古民家で民泊をしながら、自給自足で生活されているご夫婦の暮らしが本当に理想だったんです」
すぐに夫婦が暮らす民泊を予約し、兵庫県まで会いに行くことに。話を聞くうちに心が決まり、まずは移住希望者が住む「お試し住宅」を探して住むことにした外舘夫妻。多可町のお試し住宅は満室だったため、近郊でお試し住宅を探すことになりました。
お試し移住生活
気になることがあれば、徹底的にリサーチするのが外舘夫妻の共通点。多可町近郊で住まいを探している中で、利便性の高い福知山にも興味をもちました。
洋子さん「Googleストリートビューで、福知山のまちをひと通り散歩しました。福知山はスーパーや病院など生活に必要な施設も揃っているし、まち自体が賑わっている印象でした。夫とも意見が一致し、福知山に住んでみようと市営のお試し住宅に応募したんです」
ちょうど空きがあったこともあり、お試し住宅での暮らしがスタート。福知山市のお試し住宅は、エアコン・テレビ・冷蔵庫など主要な家電付きで、すぐに生活を始めることができます。
また、市の職員が福知山を案内する「福知山暮らし体感ツアー」に参加。その回数はなんと4回。市の移住支援制度を活用しながら、移住に必要な情報をしっかりと収集しました。
龍之介さん「先輩移住者のお家を見学させてもらったり、地域のキーマンに会わせてもらって、福知山で住むイメージを掴んでいきました。中でも石田さん夫婦と出会えたことは大きかったです」
「石田さんは2021年から福知山市夜久野町に住んでいる先輩移住者。夫の馨さんが大工で、古民家を自らリフォームされているんですが、その家がとっても素敵なんです。僕らの家探しも手伝ってくださったり、たくさんアドバイスをくれました」
洋子さん「市役所の担当者に先輩移住者と関わりを持ちたいと伝えたら、地域の人と協力してたくさんの方を紹介してくれたり、移住に必要な情報を細かく教えてくれたので心強かったですね。ちなみに福知山暮らし体感ツアーに4回も参加したのは私たちが初めてだったみたいです(笑)」
何度もツアーに参加することで、地域の方とつながりを深めていった2人。お試し住宅では、家庭菜園を通じて地域の方と交流があったそう。
洋子さん「お試し住宅に小さな畑があったので、野菜を育て始めました。ベランダ菜園から畑になったので最初は上手くいかないこともありましたが、一生懸命やっていると地域の方がコツを教えてくれたり、育てた野菜を下さったりと、とっても親身に接してくれました。今でもお付き合いがあって、引っ越し先の家の畑にも遊びに来てくれたんですよ」
空き家情報バンクで出会った理想の家
家探しも徹底的にリサーチを重ね、市が運営する空き家情報バンクや、地域の方から得た情報を元に約30件ほど空き家を見学したそう。空き家を探す中で重要視したのは、フィーリング。
龍之介さん「空き家をたくさん見学したことで、最も修繕費用がかかる屋根は必ず状態を確認するなど、どこを見ればいいかわかってきました。でも一番大事なのは『ここに住みたい!』と思えるかどうか。自分たちの感覚を大事にして、家を見るようにしました」
空き家探しを続ける中で、福知山で気になる家が2軒見つかりました。そのうちの1軒が、今住んでいる古民家。
龍之介さん「当初は購入費が予算より高いから除外していたんですが、どうせなら見るだけ見てみようと。初めて訪れた時、小川の上にかかる橋を見た瞬間…もう、テンションが上がっちゃって」
「玄関から見える木枠の丸い窓や、母屋と離れをつなぐ旅館のような渡り廊下など、見れば見るほど感動の連続で『ついに見つけた!』と思いました」
洋子さん「今まで見てきた古民家は長所も短所もあったんですが、この家はまさに私の探し求めてきた理想通りの古民家で、逆に躊躇してしまいました。でも夫は『これを逃したら理想の家はもうないぞ!』ってテンションが上がりっぱなし(笑)」
「最終的に石田さん夫婦にも見にきてもらい、太鼓判をもらえたので安心してこの家に決めることができました」
家を買うのは初めてのこと。不動産の契約などで苦戦した部分もありましたが、ようやく理想の古民家での移住生活がスタートしました。
農業と音楽と自給自足を
最初に着手したのは、家の片付けや古くなって壊れている部分の修繕。
龍之介さん「入居前に売主さんとお話しする機会があったのですが、その際に『必要のないものは処分せずそのまま置いておいてほしいです』とお伝えしたら、ほとんどのものを残してくれました。特にありがたかったのは、草刈機などの農機具ですね」
「その方との付き合いは今でも続いていて、雪が降ったら『雪かきの道具は納屋に閉まってあるから』と連絡をくれたり、いつも私たちを気にかけてくれてありがたいです」
現在は水周りをリフォーム中ですが、そのあとは母屋と離れの間にある蔵を、龍之介さん念願の音楽スタジオにリフォームする予定。
龍之介さん「スタジオができたら、楽器を弾いたりレコーディングしたり、知り合いを呼んでカラオケ大会もいいですね!福知山は割と音楽活動をしている方も多いので、機会があったら一緒に演奏してみたいな」
洋子さんも、家のすぐそばに思う存分家庭菜園を楽しめる広さの畑を持つことができました。取材で訪れた時には庭で採れた紫蘇を使ったジュースをふるまってくれました。
洋子さん「ようやく自分の畑を持つことができましたが、実はお試し住宅の畑で育てていた時よりも収穫量は少なめです。その土地の土質や気候によって作物の育ち方が違うので、来年に向けて試行錯誤しています。やはり農業は奥深いですね」
こうした移住ライフを洋子さんは、「古民家自給自足0円生活」と題してInstagramで発信しています。
洋子さん「以前から野菜くずをコンポストで堆肥にしたり、無料でもらえる物を活用したりするのが好きで、福知山に移住してくるタイミングで本格的にSNSで発信し始めました。最初は記録用のつもりでしたが、今は自給自足生活の面白さや福知山の良さをもっと多くの人に伝えられたらと思って発信しています」
将来的には、循環型自給自足のオフグリッドな暮らしをめざしているとのこと。
龍之介さん「実は0円生活は節約だけが目的ではなく、お金をかけなくても豊かな暮らしができるということをたくさんの人に伝えたいという思いがあります。限られた資源の中でどんな工夫ができるか、アイデアを試していくことで新しい発見があって、毎日ワクワクしています。そんな生活をこれからも続けていきたいですね」
2人が福知山に移住しておよそ1年半。改めて感じる「福知山の魅力」とは。
龍之介さん「やっぱり人ですかね。この地域って本当にいい人ばっかりなんです。地域の田植えを手伝ったときに余った苗をもらったんですが、田んぼがないからとりあえずプランターで育てることにしたんです」
「そしたら無理だと否定するんじゃなくて、『やってみ、やってみ!』って応援してくれて。田舎に来たらみんなで助け合わないといけない場面がたくさんあります。理想の家を探すのも大事だけど、地域に自分たちとフィーリングが合う人がいるかどうかも重要だと思うんですよね」
洋子さん「福知山は人とつながりやすいまちだと思います。何をやりたいかが明確であれば、みんなアドバイスをくれるし、どんどん人をつないでくれる。私たちも『畑がしたい、音楽がしたい』って言い続けてるから、きっと素敵な人たちとめぐり会うことができているんだと思います」
夫婦でともに叶えた憧れの古民家暮らし。理想の住まいを手に入れた今、2人をあたたかく迎えてくれた地域の方たちのように、今度は移住者を迎え入れる側になりたいとのこと。
記事を読んで福知山での暮らしや農業に興味を持った方はぜひ、「福知山暮らし体感ツアー」にご参加ください。
参加者の方の希望に沿って、その地域に暮らす移住者や地元の方からお話を聞いたり、移住についての不安や疑問などを市の職員に質問していただくなど、福知山の暮らしをもっと深く知ることができますよ。
【移住促進ウェブサイト「FUKUFUKU LIFE」】
移住に関する詳しい情報は、下記サイトも併せてご確認ください。