見出し画像

「福知山」から生まれた問いが「渋谷」を通して新たなアイデアに進化する 共創施設「SHIBUYA QWS」

渋谷駅直結・直上の大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」。このビルの15階に、会員制共創施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」があります。東急、JR東日本、東京メトロによる合同出資により、2019年に開業しました。

SHIBUYA QWSという名称は「Question with sensibility(問いの感性)」の頭文字からつけられており、年齢や属性を問わず多様な人たちが交流し、「問い」を持ち寄り、社会価値の創造につながるアイデアや新規事業を生み出すことをめざしています。

福知山市は、2023年から関西の自治体において初となるパブリックメンバーとして加入。福知山市に関係のある方なら無料で施設を利用でき、渋谷キューズに所属する多様なバックグラウンドを持った会員と交流したり、日々、講演やトークセッション、ワークショップなどさまざまなイベントを通して、福知山の地域活性化や課題解決などのヒントを得ることができます。

また、福知山の市役所や企業が主体となって地域課題をテーマにしたワークショップを行っており、都市と地方を結び、地域活性や課題解決などのヒントを得られる機会を生み出しています。

今回は、渋谷キューズ副館長を務める米山 孝生​​(たかお)さんにお話を伺い、渋谷キューズを起点にした地方との関わり方や、福知山に関係のある人がキューズを活用するためのポイントをお聞きしました。


イノベーションを生み出す仕組み

15階のフロアをまるごと使用した空間の中には、人々が交流し共創が生まれるような仕掛けを持ったスペースがいくつもあります。

PROJECT BASE

「PROJECT BASE(プロジェクトベース)」 は、オープンスペースとなっており、可動式のテーブルやホワイトボードを自由に使用することができます。席は企業や団体ごとに分かれておらず、誰もがどの場所でも仕事できるようになっています。レーザーカッターや3Dプリンターなどの専用機器が設置された「FABルーム」を備えており、モノづくりを行うことも可能です。

「席は予約制ではなく、早く来た人から好きなところに座ることができます。そうすることで毎日違う顔ぶれになり、新たな出会いが生まれやすくなるんです」(米山さん)

CROSS PARK。福知山市もワークショップを行っています

リビングルームのような空間「CROSS PARK(クロスパーク)」では、個人作業や打ち合わせの場として利用できるだけでなく、壁にプロジェクターを投影してワークショップやトークセッションの場としても利用可能。

他にも ワークショップに最適な「PLAY GROUND(プレイグラウンド)」や200名規模のイベントが開催できる「SCRAMBLE HALL(スクランブルホール)」など、多様な空間と設備があります。

「日本は世界に比べて、施設内でブースを分けて個室化する傾向があることに気づきました。そのため、渋谷キューズはオープンスペースにして机や椅子をフリーアドレスで配置し、自然に交流が生まれる場を提供することにしました。ただ仕事する場ではなく、イノベーションを生み出す場所として、対面で話して新しいものが生まれるような仕組みにしています」(米山さん)

施設などのハード面だけでなく、使用するうえでのルールづくりや受付に利用者のハブとなるコミュニケーターを配置するなど、ソフト面でも交流を育む仕組みをつくり、コミュニケーションを促進しています。

「例えば、スタッフや他の会員からの声かけに応じるというルールがあります。普通のコワーキングではあまり適応されないと思いますが、交流が生まれることを大切にしている場だという認識を持って利用してほしいので、あえてルールを設けています」(米山さん)

デスクを利用する際には「黄色の問いたて」というボードを必ず立てて仕事をします。各自が持つ疑問や課題などを書き込み、他の利用者と会話を生むきっかけをつくっています。

「同業種のライバル社の方と会話する機会が持てたり、コロナ禍で出社する機会の少ない新人社員が他社の中堅社員に悩み相談をしたり。隣に座った人が実は自分が抱えている課題を解決するアイデアを持っていることもあります。自分の会社に行くだけでは発生しないコミュニケーションが、この場で生まれることもあるんですよ」(米山さん)
さらにこのような仕組みに加え、コミュニケーターと呼ばれるスタッフが人をつなぐ役割を果たしています。

「コミュニケーターも会員の方々と積極的に会話をし、皆さんの持つ課題や疑問を把握するようにしています。良いつながりが生まれそうな人や団体を紹介したり、イベントへの参加を促すことで、人のつながりが生まれる流れをつくることができています」(米山さん)

自治体が活用するメリット

2023年から渋谷キューズのパブリックメンバーとして加入した福知山市。福知山市のような地方自治体が、渋谷キューズを活用することによってどのような効果があると米山さんは考えているのでしょうか。

「自治体側からすると地域外の関係人口をつくっていきたい、企業誘致をしたいなどの目的がありますよね。しかし、地方にいるだけではなかなか情報が入ってこなかったり、アイデアに煮詰まっていたりする。

ここは人々が交流し共創が生まれる場所ですから、そういった課題や問いを渋谷キューズに持ってきてもらえれば、幅広い年齢の会員や様々な職種の企業、他の自治体など多方面から意見をもらうことができます」(米山さん)

2023年8月に、福知山の特産品である万願寺とうがらしの廃棄ロスをテーマにワークショップを開催。参加者から様々なアイデアが生み出されました。

起業や企業内起業をめざす方が必要な知識及びスキルを修得できる福知山市の人材育成プログラム「NEXT産業創造プログラム」の一貫で行いました

他にも地域課題の解決案を都市部の起業家や企業の目線でブラッシュアップを図るワークショップなど、福知山市や地元企業が主体となってさまざまなイベントを渋谷キューズで開催しています。

「Uターンを考えている学生や地方進出を考えている企業など、自治体と接点を持ちたい人もいます。そんな時に、隣に座って情報交換ができたり、イベントに参加して接点を持てたり、フランクに話せる場として渋谷キューズを活用してもらいたいですね」(米山さん)

また、渋谷という場所も課題解決の糸口を見つけるための大きなポイント。自治体が渋谷に拠点を持つことによって、どのようなことが期待できるのでしょうか。

「渋谷はZ世代にとっては買い物をする場所、働く人にとってはビジネス街、地元の人も通う商店街…と東京の中でも珍しく幅広い世代が行き交うまち。現にキューズには、10〜70代の会員さんがいますが、過去には90代の会員さんが所属していました。東京駅付近や霞ヶ関にも沢山の施設がありますが、おそらく渋谷はまた違った顔ぶれになると思います。
多様なバックグラウンドを持つ人たちと関わりをもつことで、思っても見なかったアイデアがもたらされたり、新たなつながりが生まれていく。うまく活用できれば、新たなイノベーションの種を生み出すきっかけをつくれるのではないでしょうか」(米山さん)

福知山市民の問いを東京でオープンにしてアイデアを得る

福知山を訪れたことがあり、NEXT産業創造プログラムを受講する福知山の起業家たちとも親交を深めているという米山さん。「福知山の方たちにも、どんどん渋谷キューズを利用してほしい」と話します。
「ぜひ私やスタッフに『福知山でこんなことをやってるんです、やろうと思っているんです』と話しかけてください。まだどうしようか決まっていなくても大丈夫です。『今こんな悩みがある』『この先どう進めていいか迷っている』と抱えている問いをオープンにしていくことで、いろんな人から意見やアイデアをもらう。
もらったヒントやアイデアを福知山に持ち帰り、それをどうやったら実現できるかを産業支援センターやNEXT産業創造プログラムの仲間たちと考えてみる。そんな流れがつくれたらいいですね」(米山さん)

渋谷キューズの目的は、ここに集う人たちの問いを一つでも解決できる糸口を見つける場所になること。自分のアイデアをビジネスとして形にしてみたい、今取り組んでいることにもっとヒントがほしい。そんな人はぜひ、渋谷キューズを訪れてみてください。

そして、少し勇気を出して話しかけてみましょう。あなたの問いかけから、新たな世界が広がるかもしれません。詳しくは、福知山市役所 産業観光課(0773-24-7075)までご連絡ください。

福知山に関係のある方へ:無料で利用してみませんか?

福知山市の地域活性化や地域課題解決などにつながる目的で、福知山市に関係のある方であれば、無料で渋谷キューズを利用いただけます。
(新たなアイデアを得たい。ネットワークを広げたい。渋谷キューズのイベントに参加したいなど )

<利用時間>
平日・土日祝9時~22時(最終受付は21時30分)
※変更される場合があります。
<利用できる方>
・福知山市内に在住の方
・福知山市内の事業者、教育機関等
・福知山市出身の方(学生を含む) など
※福知山市の会員枠で無料利用できるのは同時に4人までです。5人以上の場合は、渋谷キューズが定めるところにより改めて料金が必要になります。
※渋谷キューズを同じ時間帯に利用する人が4人を超える場合は、福知山市在住者を優先します。
▼利用に関する詳細はこちらをご覧ください。
https://www.city.fukuchiyama.lg.jp/soshiki/25/55932.html

NEXT福知山の取り組みや米山さんの紹介記事はこちら

福知山公立大学の学生記者の皆さんが、SHIBUYA QWSや米山さんの取材を行い、さまざまな記事を執筆しています。

福知山の魅力的な企業も紹介されていますので、ぜひご覧ください。

東京から福知山市を盛り上げろ! ~SHIBUYA QWSでイノベーションを体感!!~

SHIBUYA QWS副館長 米山孝生さん〈SHIBUYA QWS発展の秘訣に迫る〉


最後まで読んでいただき、ありがとうございます! ほんのちょっとでも、あなたの福知山スキ度が上がっていたらうれしいです!また読みに来てください!