マイクラで福知山城ができるまで〜福知山公立大生の福知山城マインクラフト・プロジェクト〜
マイクラって知ってる?
みなさん、こんにちは。
マイクラのことを、またなんか新しいSNSが出てきた!と思っていたキラです。
マイクラって、「マインクラフト」っていうゲームなんですよ。ご存知でしたか?
プログラミング教育が小学校でも必修化されるなど情報教育への関心が高まっている中、福知山市が設置する福知山公立大学では、2020年度に情報学部を開設しました。
2021年からは、情報学部の教員と学生たちが「マインクラフト」を題材にした小学生のプログラミング教室を実施するなど、情報教育の充実に取り組んでいます。
そして、情報教育のさらなる充実のため、福知山市と福知山公立大学情報学部の共同プロジェクトとして「マインクラフト」の世界に福知山市のシンボルである福知山城を建築するプロジェクトをスタート。
福知山城築城までのプロジェクト進行管理は、学生たちが担いました。
今回は、福知山城マインクラフト建設の歩みを、福知山公立大学情報学部のみなさんにお話しいただきました。
学生たちによる、令和の築城ストーリーです!
福公大情報学部生が、福知山城マインクラフトに挑む
みなさん、はじめまして!
福知山公立大学情報学部の森下、山根、塩野谷、西村です。
今回は、福知山市と福知山公立大学が協働でおこなった「福知山城マインクラフト」プロジェクトについてお話しします。
「マインクラフト」の世界に福知山城を建てよう
このプロジェクトは、世界的に人気のゲームであるマインクラフト内に、福知山城を忠実に再現することを目標としてスタートしました。
福知山城は、天正7年(1579年)に丹波を平定した明智光秀が居城として築城したもので、今なお地元の市民に愛される福知山市のシンボルです。
2021年11月にプロジェクトが始動し、2022年8月16日に完成お披露目イベントを実施しました。
プロジェクトの運営、また、マインクラフトの世界に福知山城を建築する役割を担ったのが、福知山公立大学の1年生から3年生の学生19人です。
有志で集まった学生たちは全員、このようなプロジェクトの運営はもちろん、マインクラフトで巨大な建造物を再現をした経験すらありませんでした。中には、このプロジェクトで初めてマインクラフトをプレイした人も…。
そのため、プロジェクト始動直後は何をしたらいいのか分からず右往左往していました。マインクラフトで建築を始めようと集まったものの、できた作業は下の画像のように土を重ねただけだったり…。
プロマインクラフターのタツナミシュウイチさんが監修として参加
そんな我々の大きな助けとなったのが、アジア初のプロマインクラフターであるタツナミシュウイチさん!
タツナミさんは監修として本プロジェクトに参加してくださり、隔週で開催された全13回の授業を通して、マインクラフトの建築技術だけでなく、プロジェクトの運営において重要なこと、また、ゲームによる社会貢献のあり方を教えてくださりました。
授業は、前回の授業からの進捗をタツナミさんに報告し、そこで生じた問題点や質問に対するアドバイスをいただくという形式で進められました。
この授業のおかげで、不足していたマインクラフトの知識を充実させることができ、より福知山城の再現度をあげることができました。
マインクラフトでの建築
マインクラフトの世界では、各辺が1メートルのブロックを積み上げて建築します。ゲーム内に用意された、決められた大きさ・形状・色・テクスチャのブロック(1300種類以上)を組み合わせて造形していくので、マインクラフトの世界での建築は、現実世界での建築とは異なる難しさがあります。
ブロックの形の基本は下の画像の3種類です。
この3種の形状をうまく組み合わせて建築を行います。
実際の建築物には曲線の箇所が多くあるため、それをブロックでいかにうまく再現するかによって、完成度が大きく変わります。
ブロックの大きさは決まっているので、細かな造形には限界があることが、マインクラフトでの建築の難しさです。
下の画像はマインクラフトで建築した「釣鐘門」と、実際の「釣鐘門」の比較です。
屋根の反りを再現するために複数のブロックを組み合わせる必要があり、マインクラフトの細かな仕様を把握する必要がありました。
そして、下の画像は天守閣の石垣の比較です。
ブロックのテクスチャも決まっているので、細かく色や質感が変化している場所は再現することが難しく、マインクラフトの仕様にあった工夫をする必要がありました。現実世界の色通りに再現すると、逆にマインクラフトでは違和感が出てしまうこともあります。
このようなことに気を付けながら、プロジェクトメンバーそれぞれが意見を出し合い、建築のクオリティーを上げていきました。
土の塊から始まった建築作業は、石垣、天守閣、お城の内装、昇龍橋、福知山城公園、周辺の道路や建造物と徐々に完成していきました。
約10か月かけ、福知山城マインクラフトが完成
マインクラフトでの建築を進めること約10か月、福知山城マインクラフトがついに完成しました。
8月16日には、現実の福知山城でお披露目会が行われ、福知山城の巨大パネルの除幕式と、「福知山城マインクラフト」プロジェクトの集大成となるプレゼンテーションをしました。
お披露目会にはタツナミさんもご参加いただき、これまでの私たちへの思いを伝えてくださりました。
「今回のお城の完成まで諦めずプロジェクトを進行していった経験を、今後は教える側に立ち、小さな子どもたちにも引き継いでいってほしいという思いを具現化してくれました。感動でいっぱいです!」と講評をいただきました。
最後に司会者の「このプロジェクトを評価するとしたら何点でしょうか?」という問いかけに対し、タツナミさんは笑顔で「もちろん100点満点!!」と発表会を締めくくってくださりました。
お披露目会は成功し、参加して下さったメディアの方々や、報道を見た市民の方々からも多くの称賛の声をいただきました。
福知山城マインクラフトのこれから
作成した福知山城マインクラフトのワールドデータは、8月16日から9月7日まで「マインクラフト」統合版にて無料で一般公開され、期間内であれば誰でも自由にPC・スマートフォン・タブレットで遊ぶことができるようになっていました。
公開中に多くの方が福知山城マインクラフトを見に来てくださり、遊んだ感想などを聞く機会もあり、我々もとても感動しました。
そして、今後は「福知山城マインクラフト」から「福知山マインクラフト」にプロジェクト名を変更し、建築エリアを福知山城以外にも拡張していきます。
特に、福知山公立大学の校舎を再現することで、マインクラフト内でオープンキャンパスを実施できるのではないかと考えています。
さらに、毎年開催している「小学生のためのプログラミング教室」でも、この福知山城マインクラフトを活用していきます。
この教室は、地域の小学生を対象としたマインクラフトを用いたプログラミング教育で、今年の教室でも福知山城マインクラフトを舞台にプログラミングの授業を行いました。
仮想空間は無限の可能性!
昨今、日本の教育現場では情報教育が推進されており、小学校の段階からパソコンやタブレットなどに触れる機会が増えています。
また、教育にマインクラフトを活用している事例もあり、ゲームを通した「遊び」が、子どもたちの「学び」に繋がることが期待されています。
私たちが作ったマインクラフトの世界が、子どもたちにとって「こんな凄いお城ができるんだ!!」と思ってもらえるお手本になり、「自分でもやってみたい!!」と挑戦するきっかけになったら嬉しいです。
マインクラフトなどのオンライン上で様々な人々と交流することができる仮想空間は、オンライン観光やオンラインオープンキャンパスをはじめ、考え方によっては無限の可能性を秘めた資源となり得ます。
福知山マインクラフトプロジェクトをさらに発展させ、福知山市や福知山公立大学に良い影響を与えることができるよう頑張っていきたいと思います。
活動のスタートから見守っていたニシムラは、
「授業を重ねるごとにマインクラフトの建築だけでなく、プレゼンやプロジェクト進行の面でも大学生が成長していく姿がとても印象的でした。これから「福知山マインクラフト」はどんなワールドになるのか、こどもたちの「学び」がどんな風に広がっていくのか、とっても楽しみです!」
と話していました!
福知山マインクラフトの世界は、今後も公開される予定です。
公開する際は、下のページでお知らせします。
ぜひ、これからもご注目ください!