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地元から出る機会がなかった。それならば… 京都北部を"奥京都"に変える、クリエイターの挑戦
ローカルが拠点のクリエイターは、どうやってクリエイターになったのか? 自分のまちに対する想いは?
「クリエイティブで、まちを変えていく」をテーマに、京都府福知山市で行われたトークセッションの一部をお届けします。
トークにお招きしたのは、福知山を拠点に、40代、50代になってもブランドづくりやスケボーなど新しいことに挑戦し続ける、キャンプライフクリエイターの岩城四知さん。
聞き手は、福知山と東京の二拠点で活躍するクリエイティブディレクター、コピーライターの公庄仁さんです。
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地元から出る機会がなかった。それならば……
岩城四知さん:僕は生まれてから今までずっと福知山に住んでいて、外に出たいなとは思っていたんですが、機会がなかったんですよ。なので「それなら、福知山をみんなが行きたくなるようなまちにしたらいい」と思うようになりました。
まずは人間から魅力的にしていこう、と28歳で学習塾をはじめたんです。子どもたちの手本となれるように、自分でも色んなことにチャレンジしようと思って、学習塾の内装を自分でつくったりとか。そこからものづくりをするようになりましたね。
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岩城四知さん【SomAbito代表/キャンプライフクリエイター】
福知山市出身、在住。デザイナーズキャンプブランドSomAbito(ソマビト)代表、クリエイティブディレクター。日本・アジアでクラフトワークショップを開催。テレビ番組、CMにも出演。ライフワークであるキャンプを通し、「奥京都」の魅力を伝えている。2022年、福知山市内の廃校を利活用した「ソマビトノースヒルズキャンプ場」をオープン。
岩城さん:そんな中で自分でつくった製品をInstagramにあげたら、ほしいという人がいて、それがSomAbito (デザイナーズキャンプブランド) につながっていきました。全部「若い人たちに背中を見せられることをやろう」ということの延長線上なんです。こんな田舎にいながらでも世界相手にやりたい、と思いながら取り組んでいたらこうなったという感じです。
公庄仁さん:最初の頃の想いが、どんどん拡大していってるんですね。もともとアウトドアがすごく好きだったんですか?
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聞き手 公庄仁さん【クリエイティブディレクター/コピーライター】
東京でブランディングや広告の仕事をする傍ら、2019年より福知山との二拠点生活を始める。主な仕事に、累計480万部超の「ざんねんないきもの」シリーズ、東京メトロ×ドラえもんのコラボ広告、TOYOTAの企業CMなど。最近では、300年以上続く酒蔵のブランディングや福知山ではCRAFT BANKなど、幅広いプロジェクトに携わる。
岩城さん:アウトドアは好きですけど、もっというと、何でもやってみたいんですよね。例えばテーマパークに遊びに行くと、僕はモルタル造形ばっかり見ていて(笑)。で、自分でやり方を調べて店舗の装飾に使ってみたりとか。
公庄さん:図書館に展示されていたキャンプグッズもSomAbitoさんのですよね。ロゴマークだったり模様だったりが、細かいところまで全部オリジナルだったのですごくびっくりしました。自分でデザインをされて、プロダクトもつくられて、って、僕らの仕事がなくなりますね(笑)。
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図書館のフロアが、なんだか芝生に見えてきます
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40代、50代での挑戦
公庄さん:岩城さんのすごいところは40歳を越えてからSomAbitoを立ち上げられたり、最近でもスケボーをはじめられて、スケボーができるカフェ(GF8)を経営されていますよね。どんなものに対しても好奇心が旺盛なんだなと思いました。
岩城さん:今52歳ですが、スケボーは49歳からです。GF8は、自分がスケボーが上手くなりたいと思ってはじめたはずなのに、お店に来た人の方がどんどん上手くなっていきます(笑)。普段福知山に来ないような人が来ていたりするので、とても刺激がありますよ。
公庄さん:スケボーをはじめるかどうかというのも、大きい分かれ目ですよね。いくつになっても一歩踏み出せるのもすごいことだと思います。
岩城さん:僕が子どもたちによく言っていたことは、「無茶はダメだけど、無理はせなあかん」。"無茶"は、例えば少年野球をしている子がいきなりオリンピックをめざすとかそういうことです。"無理"は、ちょっとしんどい時にふんばってみるとか。こんな風にまず自分があってこそですけど、そこにがんばっている人をちゃんと支えられる環境や誰かのために動ける人もいて、結果がついてくる感じがします。
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福知山市のシティプロモーション企画「福知山の変」にも登場いただきました
公庄さん:ちょっとこの「福知山の変」メイキングのお話も聞いてみたいです。
岩城さん:モチーフがたき火に決まって撮影することになったのですが、普通に地面でたき火をしたら、色んなものが写り込んで切り抜けないじゃないですか。それで皆で雪を積んで、たき火台の上にたき火台を置いて(笑)、撮影しました。
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たき火台は、アートディレクター古谷萌さんがデザインした模様を、岩城さんがプロダクトにしたオリジナルです
公庄さん:通常広告の撮影では、美術をつくったりセッティングをされる方は専門でいますが、岩城さんは一人で何役するんだという話ですよ!(笑)
奥京都って?
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公庄さん:奥京都という言葉は、岩城さんが言いはじめたんですよね。
岩城さん:「京都府北部」と言われるのがなんか嫌だったんです。その名前で田舎ものだとからかわれたりすることもあったので。新たに「奥京都」という名前をつくることで、強引にでも注目させてやろうという考えもありました。人って見られていることでちゃんとしようと思えるものなので、そういう環境をつくりたかったんです。
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公庄さん:僕はコピーライティングの仕事をしているので、そういうのはとてもクリエイティブなことだと思っています。「奥京都」と2文字つけるだけなのに、印象がガラっと変わったりして。それこそ僕がクリエイターで一番尊敬するみうらじゅんさんがご当地キャラに「ゆるキャラ」という名前をつけられたことで、いろんなキャラクターたちが一気に価値を持ちだして、大きなマーケットになっていきました。こうした工夫によって、どんどん変わっていくんだと思います。
岩城さん:この北部の辺りは、京都の都の人たちが「京都の山の向こうには鬼がいたりすごいらしいよ」と想像してくれていた場所だと僕は考えています。いつかその「京都」と並ぶ魅力づくりができたらいいなと思っていて、そのために色んなことにチャレンジしています。
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やったー!って感じですよね」と語る岩城さん
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廃校になった小学校の校庭を、生まれ変わらせました
(写真提供:SOMABITO NORTH HILLS CAMPING FIELD)
福知山の伸びしろ
公庄さん:今日は「まちづくり」もテーマですが、福知山のまちや文化がご自身に影響を与えていると感じますか?
岩城さん:僕はこのまちに満足したことがないんです。だから物足りなくて、もっと満たしていこうとやってきました。このまちには伸びしろがいくらでもあります。
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公庄さん:確かに、福知山にはまちづくりの余白がありますよね。お店ができていくたびに車や人の流れがどんどん変わっていくのを感じます。
岩城さん:福知山はどんどん面白くなっていると思います。「福知山の変」の企画もそうですよね。20年前では考えられないことです。まちに違う空気を入れたいと思って、今の現状に満足せず取り組んでいる人が増えているわけですよ。
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岩城さん:あと僕は福知山の若者はどんどん都会に出ていったらいいと思っています。逆に福知山にいる僕らがしなきゃいけないのは、ほかの地域の若者が自分を磨きに来るようなまちにすること。そういう循環をしないと面白いまちにはならないと思います。
公庄さん:そうですね。例えば生き物には多様性が必要だと言われていますが、まちもそうだと僕は感じています。多様なものがいっぱいあった方が住みやすい。変なお店があったりかっこいいお店があったり。そういう風になっていくと面白いなと思って、僕はいつも福知山をうろうろしています。
最後にひとこと
岩城さん:自分の可能性を信じながら、人をまねてみたりだとか、ちょっとずつやっていけば大きく変わる時がくる。奥京都を広める活動をこれからも続けていきます!
公庄さん:岩城さんの何でも取り入れて何でもやっている、とにかく自分の好きなもので突き進むパッションがとても印象的でした。自分の中にも何か取り入れていきたいです。
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◆「福知山の変」とは、挑戦する人を応援するシティプロモーション企画です!詳しくは福知山市HPへ
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